松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん16号-1
平成26年4月15日

議員が変わる、地方自治が変わる

市政は市長(市長以下の執行部も含める)と議会とで成り立っています。これを二元代表制といい、互いに対峙し役割を果たしながら住民の福祉の向上に努めています。
市長には1000人以上のスタッフ(松阪市の市職員のこと)がいます。議会には市議会議員28人がいます。この人的格差をどう埋めるかが常に課題となっています。
その課題を克服するための方策として最近よく耳にするのが、「議会事務局を充実させる」というものです。議会は議員で構成されていますが、その運営は市職員で構成される議会事務局が担っています。この議会事務局により多くの人材を配し、調査機能や法務機能を強化し、議員を下から支えようと考えるのが、議会事務局の充実という言葉の意味です。
地方自治においては、二元代表の一翼を担う議会が力を付けなければ巨大組織をバックに持つ市長と対峙できないのであるから、そのためにも今後は議会事務局の更なる能力アップが欠かせないという趣旨の下、各地のシンポジウムや講演等で議論は進められています。
確かに議会事務局における調査能力等の機能が充実すれば議員ないし議会としてそれに越したことはないのですが、あくまでもそれは議会事務局が議員をサポートするという関係を保った上での議論であるべきであって、議員が議会事務局に今以上のことを望むべきではないのではないかと考えます。
そうではなく今、地方自治に求められていることは、議会を構成する議員一人一人が各々の資質を向上させることなのではないでしょうか。
私の所属する松阪市議会では平成24年11月より議会基本条例を施行していますが、その中では「議員力の強化」を謳っており、各議員の不断の努力が求められているところです。
さしあたって議会事務局の法務部門の強化は議会運営上、必要ではありますが、たとえそれらの環境が整ったとしても議員の持つべき課題把握能力、課題解決能力が蔑ろにされては地方自治は何も変わらないのではないでしょうか。
住民の皆さんには、支援する議員が議会でどのような役割を果たしているのか、しっかりとチェックしていただきたいと思います。

観光拠点施設って何?

皆さんは、全国各地の観光地を訪れた際、観光拠点施設に行きますか?
そもそも観光拠点施設って何?という声が聴こえてきそうです。
観光客の立場でいえば、たまたま入ったトイレがそのような施設の中にあっただとか、道を聞こうとして入ったら実はそこが観光拠点施設だったとか・・・。
今、松阪市ではまちなかに観光拠点施設なるものを建設しようと着々と準備が進められています。場所は市役所横の旧長谷川邸の敷地内です。建設費の総額が10億円という話も出ています。
その一方で、市内に数多く存在する公共施設は、その老朽化が大変な問題になっています。そのため施設仕分けを敢行し、施設の統廃合も視野に入れた検討がなされています。
そこへ新たな観光拠点施設の建設の話が出てきましたので、驚いています。
まちなかには、まだまだ観光機能として活かし切れていない施設や建造物がいくつもあります。
松阪市議会では先般の議会で、計画をゼロベースに戻すよう意見し、市側も逐一情報の提供に努めることを約束しました。
このような政策はまず最初に観光の全体像、まちなかの将来像を描いた上で、はじめてその各論として議論していくものではないでしょうか。全体像が見えないままの拠点施設建設事業は少し先走っているように感じます。

松阪市の図書館の「これから」を考えてみる

松阪市図書館は平成21年度から5年契約で指定管理者制度を導入しており、今年度が最終年度に当たります。そして現在、松阪市は平成28年度における図書館全面改修を視野に入れて計画を進めており、図書館改革推進プロジェクトも平成25年8月7日に発足させ、基本構想の構築を目指しています。
今、松阪市図書館は今後の運営を考えていく上で、極めて大切な時期を迎えています。改めて図書館の今後のあり方を模索していく必要があります。
独自の図書館像を確立し、すでに運営に成功している東京都の千代田区図書館は、コンセプトと持つべき機能を一から見直し、貸出中心の図書館から「滞在型図書館」へと移行しました(平成19年)。決して貸出数を競おうとはしなかったのです(貸出数を増やそうとすれば新刊やベストセラーを多く取り揃えれば可能です)。このような運営方針は利用者の高い満足度(80%以上)にも表れているように、すでに定着しつつあります。
ただし、住民のニーズに応え、様々なサービスの拡充を図っていくには、それだけ経費はかさみます。千代田区では学校支援のための司書の確保や広報の充実のための図書専門の広報担当者の確保を積極的に進めた結果、図書館運営経費が3億2千万円から3億7千5百万円まで増えました。
したがって、松阪市も今後、指定管理者制度を維持していくのなら、何のための指定管理者制度なのか、もう一度考えなければならないでしょう。そしてこれから目指していこうとする図書館の姿はどのようなものなのか、松阪市の住民の望む図書館の機能はどのようなものなのか、改めて問うていく必要があるのではないでしょうか。
千代田区が行ったように、松阪市もまず、松阪市とはどのような機能と特徴を備えた街なのか自己分析することから始めるべきでしょう。そしてそれらを基にして多くの住民も交えながら新たな図書館のコンセプトを明確にしていく必要があります。
千代田区以外にも新たな図書館を目指し、すでにその運営に成功している自治体はいくつもあります。しかし、それらはその地域だからこそ成功したのだと冷静に判断することも大切でしょう。
わが街の図書館はわが街でしか成り立たない、そんな図書館であっても良いのではないでしょうか。