松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん15号-1 
平成25年11月10日

まちなかの再生は高齢者対策がカギ

 

高齢者は置き去りにされ、町は空洞化していく

今に始まったことではありませんが、松阪市は、松阪駅を中心とした比較的広い地域「まちなか」で空洞化が進行しています。他の地方都市と同じように、特に松阪駅の西側の商店街ではシャッターを閉める店が後を絶たず、若い世代も市の郊外などに移り住み、それに伴って高齢者の割合が高まり、空き店舗のみならず空き家も増え続けるという状況が続いています。残念ながらこの現象は止まる気配を見せません。
何故なのでしょうか。
答は簡単です。そのための対策をとってこなかったからです。
「いやいや、今でもまちなかの活性化のために色々な施策を実施しているではないか」との反論が聴こえてきそうです。

「松阪まちなか再生プラン」は高齢者対策なのか

確かに、平成18年に松阪駅に隣接した市内唯一の百貨店が閉店し、さらに「松阪駅西地区市街地再開発事業」の都市計画が白紙になって以降、あらためて「まちなか」再生の必要性が叫ばれ、そのための施策が住民や行政も交えた中で検討されてきました。その結果、平成22年3月、アクションプラン(平成22年度~平成24年度)としてまとめ上げられたのが「松阪まちなか再生プラン」(以下、再生プランという。)でした。そして、市は順次、それに沿った施策を行ってきました。
したがって、この再生プランが実施されることによって「まちなか」の諸問題、つまり高齢化の進展や人口流出などによる町の空洞化問題が解決に向かわなければならないはずでした。
ところが、依然として「まちなか」は再生に向かっている状況にはありません。商店街全体の売上は下落を続け、市街地内での鈴の音バスの乗降者も増えることはなく、若い世代は町を出て行き、町の高齢化率は上がる一方です。
何故なのか
それは、どれも「まちなか」にお客さんを一時的に呼び込む施策ではあったとしても、「まちなか」の高齢化を食い止めるための施策、空洞化を止めるための施策ではなかったからなのです。
なぜ、このようなことになってしまったのか、一体、どこに原因があったのでしょうか。

「できないこと」は後回し

この度の本会議(9月~10月議会)において、私はこの問題について市側に質(ただ)しました。
私は、根本的な原因は、市の「まずは、みんなでできることから始めよう」という合言葉の裏に隠されていると考えています。
つまり、合言葉「まずは、みんなでできることから始めよう」の裏側には「できないことは後回しにしましょう」という意味が隠されているということです。
つまり、この「できないこと」こそが、松阪市が最大の課題として挙げている高齢化の進展や人口流出などによる町の空洞化克服なのです。
再生プランは一冊の冊子にまとめられています。
この中でまず、しっかりと「まちなかの空洞化問題」が認識され、これを克服することこそが最大の課題であると明記されています。にもかかわらず、それに続く理念では「本市にある様々な〈食〉のすばらしさを感じ、先人の築き上げた〈歴史〉を温め、それらを次世代に語り継いでいくことを基本にするものである」(一部編集)としています。
つまり、課題と理念とが一致しておらず、いくら理念通りに施策を行っても最大の課題の克服には直接的には繋がらない仕組みになってしまっているのです。
再生プランに具体的に示されている、街の食べ歩きマップを作成したり、中心市街地に「国学の道」を設定し、歴史の再発見を促したりするなどの事業は、確かに再生プランが理念として掲げる「様々な〈食〉のすばらしさを感じ、先人の築き上げた〈歴史〉を温め、それらを次世代に語り継いでいくこと」に繋がるものです。
ところが、あらためて検証してみると、それらが最大の課題である「高齢化の進展や人口流出などによる町の空洞化問題」を直接克服するための事業になっていないことが分かります。
実際、まちなかの高齢化率の上昇は止まらず、今や34%を超え、空き店舗も増え続け、空き店舗率は22%を超えています。そして住民の方々の意識にもそれが現れ、市が昨年行った市民アンケート調査では、50%以上の住民が「中心市街地にもっと居住を促すべきだ」とし、危機感を持っていることが明らかになりました。
再生プランの理念通りに実施しているにもかかわらず、それらがことごとく最大の課題の克服に繋がっていないとは何と皮肉なことでしょう。
これら最大の課題を克服してこそ「まちなかの再生」と言えるのではないでしょうか。

高齢化問題の克服が「まちなかの再生」

私たちは合言葉の裏側にある意味を真正面から考えてきませんでした。
松阪市もこれらの課題に対して見て見ぬふりをしてきました。
「まちなかの再生」という最大の課題を克服するのは並大抵のことではありません。だからこそ私たち住民は「できること」から始めなければならず、今までそのことに一生懸命取り組んできましたし、これからも変わらずに取り組んでいくつもりです。
しかし、行政としての市が一緒になってその言葉に甘え、齢化の進展や人口流出などによる町の空洞化問題を先送りしていては、やがて市全体が疲弊してしまうのではないでしょうか。
そうならないためにも、直接、課題の克服に繋がる施策を考えていかなければなりません。具体策として、例えば、国の提案する「高齢者等居住安定化推進事業」や「空き家再生等推進事業」、「地域自立型買い物弱者対策支援事業」などの活用が考えられます。
それらの事業を通して、「まちなか」にお住いの高齢者の方々が安心して住み続けられるような町、そして「まちなかが生活するのに便利になった」と再認識され、再び郊外から移り住んでもらえるような町を実現していかなければなりません。
そして、このことを松阪市の新たな基本計画(平成26年度~平成29年度)に反映させていくことも必要なのではないでしょうか。

松阪市議会議員 植松泰之 ブログ
に掲載された内容を一部修正、加筆しています。》