松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん23号 
平成29年3月1日

交通事故撲滅のために私たちができること

地域ボランティアによって守られているわが町の交通安全

危ない! 朝、小学生が列を組んで登校するその脇を、スピードを緩めず走り抜けていく車。そのような光景がよく見かけられます。
交通事故防止対策の一つとして、市内には歩道がない通学路に対し、朝の通学時間帯(例えば7時30分〜8時30分)のみ車両通行止めにしている所もあります。事故を未然に防ぐには大変有効な方策ですが、それを守るか守らないか、その判断はドライバーの良識に委ねられているというのが実情です。そのためか、なかなか徹底されず、車両通行止めの時間帯だというのに平気で進入してくるドライバーが後を絶ちません。
また「松阪市内を走るドライバーの運転マナーはヒドイ!」という声をよく耳にします。実際に市内を運転していて、信号無視する車にヒヤリとしたり、ウインカーを出さずに曲がる車に憤慨したり、どうしたいのか意思表示しないまま減速し平気でいる車にイライラしたりと、何かとストレスの溜まる思いをされた方も多いのではないでしょうか。
このような交通事情に加え、全国ではアクセルとブレーキの踏み間違いなどの誤操作や危険運転、または居眠り・わき見運転などにより、小学生などの交通弱者が犠牲となる痛ましい事故が多く発生しています。
しかし、松阪市内では毎朝、毎夕、地域ボランティア(交通指導員や見守り隊など)の方々の献身的な活動によって子供達など交通弱者の安全を確保していただいており、お陰で市内では大きな事故につながった事例は発生していません。

交通事故防止のための最善策は…

本来ならば、一人一人のドライバーが意識の中で「自分は動く凶器を操っているのだ」と自覚し、運転マナーの向上に努めることで、事故を誘発することも回避できます。
それは必ず登下校時の子供達をはじめとする交通弱者の命を守ることにも繋がります。
では、どうすれば意識は向上するのでしょうか。
もう使い古された言葉となってしまいましたが、それは、やはり「啓発」でしょう。
自らが操る車で他人の人生を狂わすことの悲惨さ、逆に被害者となった時の絶望感、そういった意識を車に乗り込む際に一瞬でも頭に思い巡らすこと。そのために家族など周りの人がこれから車を運転しようとする大切な人に「気を付けて」と一声、声を掛けること。こういったことを日常の営みに取り入れていくよう「啓発」していくことが必要です。
家族だけではありません。町内会であれば回覧板で周知する、松阪市であれば市の広報などで情報発信するといった、負担なくできることを日々、意識して行うのです。
このように私たちは、まずドライバーの意識向上に期待するのですが、残念ながら「この対策さえ行えば絶対に事故は起こらない」というものがないのも実情です。

地域ボランティアへの支援体制の確立を!

 ここで今一度、松阪市内で重篤な事故が発生していないのは「地域ボランティアによる地道な活動」のお陰であるということを思い出してください。雨の日も風の日も休むことなく、朝夕、街頭に立ちながら、または通学団に付き添いながら、子供達の安全を守るため監視・指導していただいています。
 松阪市の交通安全が、皆さんの地道な活動によって守られていることにこれまで以上に目を向け、市としても手助けできることはしっかりと取り組んでいくべきであると考えます。
 松阪市、学校、地域が手を組み、地域ボランティアの活動に対する支援を揺るぎないものにする。
 これが松阪市の交通安全における土壌となり、ここに一人一人のドライバーの意識向上が加われば、これほど心強いものはありません。
 皆さんと是非、取り組んでいきたいと思います。

民泊、この未知なるもの

ここ数年で訪日外国人旅行者の数は飛躍的に伸び、平成28年、遂にその数は二千万人を突破しました。
 こういった話を耳にするにつけ、「外国人旅行者がたくさん訪れるのは、大変喜ばしいことだ!」「街に活気が出るし、経済的にも潤うはずだ!」と、外国人旅行者に対する期待は今、大きく膨らんでいるようです。
 しかし、「楽観ばかりしていて良いのか」と、ある住民の方から疑問を投げかけられました。その方が言われるには、「大雪で飛行機の欠航が相次いだことに腹を立てた外国人旅行者が搭乗受付職員に暴行を加えたり、外国人をマンションに泊めたが為に、周辺住民が騒音やゴミの散乱などの迷惑行為に悩まされたりと、私たち日本人の常識では考えられない行動がニュースとなって耳に入ってくることもある。国や県は外国人旅行者の誘致に熱心だが、本当に大丈夫なのだろうか」と。
 観光振興と地域住民の安心安全、どちらも重要な案件ながら、不安を抱える人々の思いは切実です。
 私もこれを機に外国人旅行者との係わり合いを考えてみました。そこで外国人旅行者の問題、特に彼らの利用する「民泊」という言葉に行き着きました。

軽視される安全

 外国人旅行者がよく利用する宿泊先の一つに「民泊(みんぱく)」というものがあります。
 「民泊」とは、字をそのまま解せば、「民家に泊まること」なのですが、特に現時点で「問題あり」と考えられているのが、アパートやマンションの一室を貸し部屋として利用させる形態の「民泊」です。
 単に友人や親戚を家に泊めるのとは訳が違い、外国人旅行者(もちろん邦人客も含まれる)を泊める民泊は、宿泊料を徴収する限り、立派な営業行為です。
 そもそも不特定多数の人が「宿泊料」を支払って泊まる旅館やホテルは旅館業法、また防災や衛生の観点からの様々な規制(消防法や食品衛生法など)に則って営業をされています。そのお陰で宿泊者は安心して泊まることができるのです。
 ところが、これらの規制から逃れ、極めて安価な宿泊料だけを謳い文句に運営される「民泊」は、当然担保されるべき宿泊者の安心安全から掛け離れたものになってしまう恐れがあります。これが問題点の一つです。

いつの間にかトラブルに巻き込まれる?

 また、この「民泊」が無為無策のまま運営された場合、これまでとは明らかに異質で深刻なトラブルが発生する可能性があるという問題を指摘することができます。
 部屋を借りた人が別の人に貸すという部屋の又貸し(転貸)も容易にできるのが「民泊」です。つまり、良からぬことを企む者たちにとってその〝部屋〟は恰好の隠れ家になり、国際的な犯罪の温床にもなり兼ねないのです。近隣住民たちはその部屋で何が起きているのか把握することはできず、いつの間にか自分たちが深刻な犯罪に巻き込まれてしまっていたなどといったケースも考えられます。

規制することが難しい「民泊」

更にもう一点、「民泊」に対する問題を指摘すると、「民泊」先を各旅行者に斡旋し仲介する業者(インターネット利用が主流)の把握が難しいという点です。仲介業者の多くが海外にその拠点を置くため、日本独自で規制を掛けたり監視したりすることがほぼ不可能なのが現状です。
 「民泊」を希望する旅行者のほとんどはそういった業者を利用するため、「民泊」先の規制よりも実は仲介業者の規制の方が重要になるのですが、前述の理由から適切な対策が取れないという問題をすでに抱えています。

無策のままの「外国人旅行者大歓迎!」で良いの?

 このような問題は、これから多くの観光客を呼び込もうと様々な施策を展開する松阪市にとっても決して対岸の火事ではなく、いずれ自分たちの身にも降りかかってくるものだと認識する必要があります。
 松阪市は外国人旅行者を積極的に受け入れる政策(インバウンド対策)をこのまま本格的に進めても良いのでしょうか。素性の分からない外国人旅行者、「民泊」客が町に溢れることに不安を覚える住民も大勢いるのではないでしょうか(旅館業法に則った旅館やホテルならば、フロントでパスポートがコピーされ、その人物の国籍、氏名、性別等の把握ができます)。
 したがって、何の対策も採らずして外国人旅行者を「民泊」客として無条件に受け入れることは市の政策として、あってはならないことです。
 少なくとも、先述の旅館業法に準ずる規制を市の条例として定めるなど、観光事業の振興と地域住民の安心安全とのすり合わせを模索していかなければなりません。
 国や県をあげて観光振興策が図られようとしている今だからこそ、これら「民泊」に対する問題を真剣に考える必要があるのではないでしょうか。