松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん22号-1 
平成28年11月15日

被災経験者から学ぶ防災 〜負担のかからない備え〜

これが経験者の備え

防災について、少しだけ考えてみます。中でも「物の備え」ということについて皆さんと認識を共有してみたいと思います。
東京都は平成27年9月に都民を対象とした『東京防災』という個人向け防災冊子を発行し、各戸に配布しました。知人に紹介され、手に取って見たのですが、そこには都民でなくとも誰でもすぐに取り入れられるような実践的な取り組みが数多く紹介され、しかも分かり易くまとめられていました。
その中で私の目を引いたことの一つは、「被災地を経験して重要だった物」(一覧参照)です。
どれも自分が被災地での避難生活を余儀なくされたとしたら、すぐにでも必要になってくるであろうと想像できるものばかりですが、改めてすべて十分に備えているかと問われれば、少々心もとない気持ちになってきます。被災地を「経験された方」の教訓にもとづく情報として、身の引き締まる思いがしました。今一度、備えを確認したいものです。
この『東京防災』ですが、三〇〇ページ余りの冊子で、内容は、防災に関する情報が過不足なくまとめられています(一般購入可・インターネット閲覧可)。秀逸だと思いました。
松阪市でも、この『東京防災』を参考にした防災冊子を、来年度を目処に作成するとしています。
お年寄りから子供まで興味深く読むことができ、各自治会主催の防災訓練の恰(かっ)好(こう)の教科書となるような、松阪ならではの防災冊子となるよう、その完成を待ちたいと思います。

松阪市内でも相当数の避難者が…

さて、私たちの住むこの松阪市。むやみに不安感を煽(あお)るつもりはありませんが、三重県が平成26年3月に発表した地震被害想定によると、最大クラスの「南海トラフ地震」(市内最大震度6強)が起きた際の松阪市内での避難者数は三万二千人に上ると推定されています。
これを基に松阪市は地域防災計画を立てたり、防災訓練を行ったりしていますが、各地域の自治会も、様々な災害を想定した多彩な訓練を繰り返し行うことで、地域での防災意識を向上させるなど、大切な役割を担っています。

市の備蓄とわたくしの備蓄

一方、日頃の訓練とは別に、「物の備え」として最も気掛かりなことの一つは“食糧と水”です。今、松阪市は毎年、二千万円ほどの予算を組み、食料や水をはじめ、毛布、排便収納袋、発電機などを計画的に確保していこうと取り組んでいます。食料と水に関しては、推定される避難者三万二千人に対して一日三食分、九万六千食分の備蓄を目指しています(平成27年度末現在、五万四千食分を確保済み)。その他、不足する場合は、事前に協定を結んでいる商業施設や小売店舗の商品(流通備蓄)によって確保することになってはいますが、基本的には市が備蓄するのは一日分であり、二日目以降の分は各自で備えておかなければなりません。

今日からできる負担のない備え 〜日常備蓄〜

市は各々の家庭で7日分を備蓄するよう勧めています。それは「日常備蓄」というものを想定しています。つまり、単に非常用のためだけに作られたものを7日分備蓄するのではなく、普段の食べ物や日用品をいつもよりも多めに買い、日常生活の中で消費しつつ、一家族分の備蓄量を維持していくという考えに基づいたものです。
先述の『東京防災』でも指摘されていますが、これまでの非常用備蓄といえば、乾パンや備蓄用缶詰など、普段なら口にしないようなものを、そのためだけに準備しておくものと捉えられてきました。これでは管理が難しく、継続した取り組みにもなりにくく、そのために敬遠されてきた面もあります。
しかし、普段、消費している食べ物などをいつもより少し多めに買っておく「日常備蓄」ならば肩肘(かたひじ)を張らずに今からでも取り組めるのではないでしょうか。
「物の備え」に関して議会ができることは、この「うえまつーしん」のように情報を共有したり、冊子を紹介したり、その啓発を後押ししたりするなど限られていますが、皆さんとともに情報を提供し合い、お互いの防災意識を高め合っていきたいと思います。

被災地を経験して重要だった物
□ 水
□ カセットコンロ・カセットボンベ
□ 常備薬
□ 簡易トイレ
□ 懐中電灯
□ 乾電池
□ 充電式などのラジオ
□ ビニール袋
□ 食品包装用ラップ
『東京防災』第2章より