松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん21号-2 
平成28年7月20日

クルマが無くても困らないまちに!

〜まちの機能を集約し、コミュニティ・バスで地域間を結ぶ〜

“20年後を見据えた”まちづくりを提示します!

これは昨年新たに就任した竹上市長が「中心市街地のまちづくり」に対して打ち出した基本方針です。

果たして20年後、今そこに住まわれている人たちはどこへ買い物に行くことになっているのか、診療所は近くにあるのか、どこにどういった公共施設があれば良いのか、古い建物の建て替えはどういった計画で行うのか、観光客にはどこをどのように観て回ってもらうのか…

“20年後を見据えた”まちづくりとは、このように20年後のわが町をどのような姿にするのかを様々な観点から広く捉え、自分たちの住むまちの将来の青写真を前もって描いておこうというものです。これは市が長期的なまちづくりを考える上で、いわば当然の考え方であり、これまで議会からも幾度となく求めてきたものでもあります。

 

思いつきだけの政策では、機能不全に

にもかかわらず、これまでは明確な長期計画もないままに、近い将来、建て替えが必要だとされている建物(産業振興センターなど)はそのままに、同じエリアに新たに観光交流拠点施設を複数棟建てようとしてみたり、それでいて今度は古いという理由だけで取り壊してみたり(松阪もめん手織りセンターなど)…お世辞にも計画性があるとは言えませんでした。

五年前(平成23年)に耐震改修工事が完了している市役所本庁舎とて必ずしも「このままで十分だ」とはいかない面もあります。この建物は昭和44年に建てられたもの(築47年)で、改修したとはいえ、今から更に20年先というと築67年の建物になってしまいます。昨年報告された「公共施設白書」では、「耐震性は確保されたものの、老朽化は著しく、毎年、修繕改修経費として五百万円掛かっており、将来的な庁舎のあり方について抜本的に検討する必要がある」との評価が下されています。将来を見据え、移転建て替えも選択肢の一つに加えておくべきかも知れません。甚大な被害が出た熊本地震も教訓にし、たとえ大地震に見舞われても、災害対策本部として機能し続けるだけの造りになっているのか今一度、検討する必要もありましょう。

 

計画性のあるまちづくりの実現へ向けて

かつては、買い物などが便利で、抜群の住みやすさを誇っていた中心市街地でしたが、今では三交百貨店が取り壊され、多くの商店も閉じてしまい、刻々と空洞化が進みつつあります。

買い物に行こうにも近くにバス停はなく、持病を抱えた方の通院さえままならない状況です。このままでは遠からず住みにくい地域になってしまいましょう。

このような待ったなしの状況を踏まえ、市はようやく新たな道に向って具体的に動き出しました。

それがこの度の“20年後を見据えた”まちづくりを合言葉にした基本方針であり、まずは明確な長期計画を立てて、理に適った方法で進めていこうというのですから、私たち住民にとって大変喜ばしいことではありませんか!

その第一弾として「中心市街地土地利用計画」を策定すべく、その関連予算を先般の議会で承認いたしました。

これは、住民に優しいまち、観光客にも喜んでもらえるまちを目指して、皆さんの意見も取り入れながら中心市街地という一定の区域内に在る公共施設全体のあり方を見直し、各施設の再配置までも視野に、それらを計画予定図に落とし込む作業であり、来年5月を目途に形にしていく予定です。

 

まちの機能を集約したまちづくりの利点

行政が、いの一番に将来を見据えた青写真を描いておくというのには、住民にとっては大きな利点があります。

まちの青写真の描き方の一つとして、居住区域を小規模に設定し、まちの機能をそこに集約させることで、緩やかに人の居住を誘導していくという考え方があります。

つまり、これ以上、まちの高齢化や空洞化が深刻化してしまう前に、一定の区域内に住居をもうけ、医療や福祉関連の施設をも集約しながら再配置し、まちとしての機能を再生させるのです。そうすることで住民生活の利便性が向上し、高齢化社会にも十分対応できるまちを創り上げることができるのです。

また、近隣の区域とはコミュニティ・バス等の公共交通網で結ぶことで、クルマに頼らなくとも日常生活ができるまちが実現するというわけです。

実は、政府(国土交通省)はこれを「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」という名称で推奨しており、地方の自治体がそれに即した施策を行えば、「それに掛かる予算は援助します」といった政策を打ち出しています。松阪市も然(さ)ることながら、政府も本気になっています。

この好機を逃したくないものです。

 

ワクワクするまちづくり!

20年後の松阪の姿を思い描くことができるということは、私たち住民にとっては心踊ることではないでしょうか。

今、松阪市はまちづくりにおいて、大切な岐路に立っています。決してあせる必要はありませんが、のんびりと構えている時間もありません。今後さらに皆さんからの大胆な発想やご意見もいただきながら、まちづくりを考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

第22号-1

被災経験者から学ぶ防災 〜負担のかからない備え〜

 

これが経験者の備え

防災について、少しだけ考えてみます。中でも「物の備え」ということについて皆さんと認識を共有してみたいと思います。

東京都は平成27年9月に都民を対象とした『東京防災』という個人向け防災冊子を発行し、各戸に配布しました。知人に紹介され、手に取って見たのですが、そこには都民でなくとも誰でもすぐに取り入れられるような実践的な取り組みが数多く紹介され、しかも分かり易くまとめられていました。

その中で私の目を引いたことの一つは、「被災地を経験して重要だった物」(一覧参照)です。

どれも自分が被災地での避難生活を余儀なくされたとしたら、すぐにでも必要になってくるであろうと想像できるものばかりですが、改めてすべて十分に備えているかと問われれば、少々心もとない気持ちになってきます。被災地を「経験された方」の教訓にもとづく情報として、身の引き締まる思いがしました。今一度、備えを確認したいものです。

この『東京防災』ですが、三〇〇ページ余りの冊子で、内容は、防災に関する情報が過不足なくまとめられています(一般購入可・インターネット閲覧可)。秀逸だと思いました。

松阪市でも、この『東京防災』を参考にした防災冊子を、来年度を目処に作成するとしています。

お年寄りから子供まで興味深く読むことができ、各自治会主催の防災訓練の恰(かっ)好(こう)の教科書となるような、松阪ならではの防災冊子となるよう、その完成を待ちたいと思います。

 

松阪市内でも相当数の避難者が…

さて、私たちの住むこの松阪市。むやみに不安感を煽(あお)るつもりはありませんが、三重県が平成26年3月に発表した地震被害想定によると、最大クラスの「南海トラフ地震」(市内最大震度6強)が起きた際の松阪市内での避難者数は三万二千人に上ると推定されています。

これを基に松阪市は地域防災計画を立てたり、防災訓練を行ったりしていますが、各地域の自治会も、様々な災害を想定した多彩な訓練を繰り返し行うことで、地域での防災意識を向上させるなど、大切な役割を担っています。

 

市の備蓄とわたくしの備蓄

一方、日頃の訓練とは別に、「物の備え」として最も気掛かりなことの一つは“食糧と水”です。今、松阪市は毎年、二千万円ほどの予算を組み、食料や水をはじめ、毛布、排便収納袋、発電機などを計画的に確保していこうと取り組んでいます。食料と水に関しては、推定される避難者三万二千人に対して一日三食分、九万六千食分の備蓄を目指しています(平成27年度末現在、五万四千食分を確保済み)。その他、不足する場合は、事前に協定を結んでいる商業施設や小売店舗の商品(流通備蓄)によって確保することになってはいますが、基本的には市が備蓄するのは一日分であり、二日目以降の分は各自で備えておかなければなりません。

 

今日からできる負担のない備え 〜日常備蓄〜

市は各々の家庭で7日分を備蓄するよう勧めています。それは「日常備蓄」というものを想定しています。つまり、単に非常用のためだけに作られたものを7日分備蓄するのではなく、普段の食べ物や日用品をいつもよりも多めに買い、日常生活の中で消費しつつ、一家族分の備蓄量を維持していくという考えに基づいたものです。

先述の『東京防災』でも指摘されていますが、これまでの非常用備蓄といえば、乾パンや備蓄用缶詰など、普段なら口にしないようなものを、そのためだけに準備しておくものと捉えられてきました。これでは管理が難しく、継続した取り組みにもなりにくく、そのために敬遠されてきた面もあります。

しかし、普段、消費している食べ物などをいつもより少し多めに買っておく「日常備蓄」ならば肩肘(かたひじ)を張らずに今からでも取り組めるのではないでしょうか。

「物の備え」に関して議会ができることは、この「うえまつーしん」のように情報を共有したり、冊子を紹介したり、その啓発を後押ししたりするなど限られていますが、皆さんとともに情報を提供し合い、お互いの防災意識を高め合っていきたいと思います。

 

 

被災地を経験して重要だった物

□ 水

□ カセットコンロ・カセットボンベ

□ 常備薬

□ 簡易トイレ

□ 懐中電灯

□ 乾電池

□ 充電式などのラジオ

□ ビニール袋

□ 食品包装用ラップ

『東京防災』第2章より