松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん20号-1
平成28年1月20日

住民協議会

買い物に行くにもバスがない!

〜お年寄りにもやさしいまちに〜 そのためにあるべきこと

地域では、公共交通の不備、交通手段の不足が叫ばれています。「普段の買い物でスーパーに行きたいが遠くて歩いていくのは無理だ」、「病院に行くのにバスに乗りたいが、バス停まで遠すぎて行けない」など、その訴えは切実です。こういった課題を解決するためにはコミュニティー・バス(鈴の音バスなど)等を走らせる(巡回ルートを増やす)といった施策が考えられますが、当然、地元だけで実現できるものではありません。市行政、民間企業からの物的・経済的援助が不可欠となります。
しかし、これだけ大きな課題に取り組むには、一つの自治会ではなく、より広範囲な地域を想定した住民協議会が相応(ふさわ)しいのでしょうが…

住民協議会をもっと活かすために望まれること

平成24年4月から全市内43地区で住民協議会が立ち上げられ、早くも三年が経ちました。その間、住民協議会委員さんたちの献身的な取り組みにより、多くの成果を挙げていただいていることは周知の通りです。今後、それらの成果を更に地域の皆さんのまちづくりに活かしていかなければなりません。
そのためにも今一度、整理しておかなければならないことがあるように思います。

住民協議会と自治会の違いって?

それは、住民協議会と自治会(連合会)との位置づけ、その役割の違いです。
今でも「住民協議会と自治会の違いが分からない」といった声を耳にします。直接その活動に関わっていれば、二つの組織の違いも理解できるのでしょうが、外から見ればどうしても同じ組織に見えてしまうのは致し方ないのかもしれません。
私たちは皆、松阪市の一住民として自治会に属しているのと同時に、住民協議会にも属しています。為にどうしても「それぞれの組織の役割は?」「同じ目的を持つ組織だったのでは?」といった疑問が浮かびます。
実効性あるまちづくりを進めていく上で、その辺りを明確に整理しなければならない時期に今、来ているのではないかと思うのです。

自治会の役割、住民協議会の役割

皆さんの自治会では、地域での生活をより豊かにするために自治会独自で事業が行われ、時には市行政とも協力しながら事業運営が図られています。また、地域での様々な要望は自治会を通じて市行政に反映されます。自治会の役割は実にそういったところにあります。
他方、住民協議会は、その規則(市行政が制定したもの)にあるように「身近な課題を自主的に解決する」ことを目的とし、「地域住民の意見・要望を(自らの)事業に反映させる」ことを役割としています。
つまり、自治会は地域住民の福祉増進のためには「市行政」の協力を仰ぎ、また「市行政」の事業への協力も厭(いと)いませんが、住民協議会は自らの地域課題は「市行政」に頼ることなく自主的に解決していこうとする組織なのです。少なくとも建前としてこのような棲み分けになっています。

地域で解決できない地域課題?

ところで、住民協議会には、地域課題の把握とその解決のための取り組みをまとめた「地域計画」を作成することが求められています。そしてその地域計画に基づいて立ち上げられた事業に対して予算が付けられるという仕組みになっています。
それぞれの「地域計画」を見てみると、そこには、「子供が減って、お年寄りが増えてきた」「若者たちの働く場所がない」「農家の担い手がいない」などといった課題が挙げられています。しかもほとんどの住民協議会がこれらの課題を挙げています。
しかし、これらは本来「松阪市全体の課題」として捉えなければならないもので、もっといえば、市行政が主体性を持って責任ある取り組みをしていかなければならない緊要な課題です。果たしてこれらを住民協議会が地域課題として挙げ、尚且つその克服に向け取り組む責任を負ってしまって良いものなのでしょうか。市行政に頼らずとも地域で解決できるものなのでしょうか。

地域でできる堅実な活動はそのままに

本来、地域でできることは「小学生の登下校時に大人たちが見守る」「お年寄りの方々の食事会を開く」「みんなで川や歩道を清掃する」といった生活に密着したことです。実際に実施していただいているこれらの活動は、決して少子高齢化を克服するものでもなければ、若者たちの働く場所を提供するものでもありません。
いわば切実な状況下でも安全安心で豊かな生活を送ることができるよう地域で取り組むことが望まれる事業です。わざわざ「地域計画」を立てて市に報告し実施するようなものではありません。

自己完結型は単なる理想?

つまり、「地域計画」は既に実効性を喪失し、形式的なものになってしまっているのではないでしょうか。その上、住民協議会は将来、自主財源でもって運営されることを視野に入れて立ち上げられた経緯があります。財源確保から問題解決まですべてを地域が責任を持つ自己完結型の組織となることをその理想としているのです。これは地域の実態とかけ離れたものと言わざるを得ません。
自治会の役割は、前述したように「地元での生活をより豊かにするために独自に事業を展開しつつ、時には市行政とも協力しながら運営すること」であり、「地域での様々な要望を市行政に伝えて、地域の課題を解決すること」にあります。正に地域の実態と合致したものです。地域の実態に合致した仕組みとそうでない仕組みがあれば、合致した仕組みに収斂(しゅうれん)されていくのは当然のことでしょう。住民協議会の活動が曖昧になる原因はこの辺りにあるのではないでしょうか。

曖昧なままの役割を整理する

要するに三年前の設立時に打ち立てた「自己完結する組織」という住民協議会の理想像が足枷(あしかせ)になってしまっているのです。それを地域の実態に合わさなければならないがために既存の自治会の役割との重複が生じてしまっているのです。ここを整理しなければ、いつまでも「住民協議会と自治会の違いが分からない」といった声は無くならず、地域の困惑は解消し得ないのではないでしょうか。

住民協議会は協議するために集まってもらうテーブル

そこで、一つの整理の仕方として提案したいのは、住民協議会を一つのテーブルと見(み)做(な)すことです。(裏の図をご覧下さい)
つまり、各団体の代表者が一堂に会して協議するための場と割り切るのです。そこでは、一団体では解決できない課題を、集まった団体がお互いに協力、補完し合いながら解決していくことになります。団体の一つである自治会や福祉会など既存の団体の活動は現在のまま継承しつつ、尚且つ一つのテーブル(住民協議会)でお互いが手を差し延べ合うことで、より大きな成果が得られ、それぞれの活動もより充実したものになるでしょう。
より実態に見合った枠組みの再構築が必要です。