松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん19号-2
平成27年9月15日

戦後七十年

酷(ひど)い修学旅行先、「戦後」を疑う契機に

今年は戦後七十年という節目の年。「戦後」というからには当然、今この瞬間に至るまで「戦争が終わり、戦闘が行われていない状態」が続いているということなのでしょう。戦中のように米軍が日本に爆弾を落としてくるといった脅威もなく、逆に米軍に日本の国土を守ってもらっている今は正に「戦後」なのかもしれません。

さて、「うえまつーしん」の読者の方はご存知のことかと思いますが、修学旅行で松阪市の多くの小学校が大阪市にある「ピースおおさか」という施設へ行き、旧日本軍が切断して鉄条網に置いたとされる“生首”の写真を子供たちが見せられているという問題を二年前に議会で取り上げ、是正を求めました。実は、その他にもっと酷い施設に行っているという実態があり、このたびの議会であらためて取り上げました。

作り話を信じ込まされる「戦後」の子供たち

それは「立命館大学国際平和ミュージアム」なる施設です。ここは主に第二次世界大戦前後の資料や写真を展示した施設ですが、そこに展示してあるものといえば、例えば、「女性国際戦犯法廷」と題して「…2000年に、市民の手で開かれ、昭和天皇ら日本軍高官の被告全員に有罪判決が言い渡されました…」といった説明文を付したものがあったりします。勿論、これには何の法的根拠もなく、一市民団体が行ったデモンストレーションに過ぎないものなのですが、それでも修学旅行先で展示資料として見せられれば、それは正しいものだとして子供たちは認識してしまう恐れがあります(それこそがねらいであるのですが)。

また、「十五年戦争のおわり」と題した資料展示もあります。そこには「…戦況が不利になっても、戦争を続けたが、その最後の目的は国体護持、天皇制を守ることだった。そのためには国民の生活や生命がどうなろうとも止めなかった…」という説明文が付されていました。

「戦後」のはじまり

それを見て、私はある本に書かれていたことを思い出しました。それは昭和二十年八月十四日の御前会議で昭和天皇が仰ったお言葉です。

「自分はいかになろうとも、万民の生命を助けたい」

そう語られ、その後、日本はポツダム宣言を受諾し、戦争は終結を迎えました。長く壮絶な戦いが続いた最後の最後に天皇のお言葉によって日本国民の生命は守られたのですが、展示ではそのことが見事に無視されています。ポツダム宣言を受諾したその後の日本の歴史は、周知の通り、米国によって占領され、GHQが跋扈し、日本は辛酸を嘗めました。そして昭和二十七年(一九五二)、サンフランシスコ講和条約が締結されたことでようやく日本は主権を取り戻し、やがて高度経済成長も経験し、日本全体に平和がおとずれたと国民みんなが思うようになりました。しかし、「ピースおおさか」や「立命館大学国際平和ミュージアム」にあるような展示物を見るにつけ、本当に日本は戦争が終わっているのだろうか、胸を張って今は「戦後」であると言えるのか、心の底から不安を感じてしまいます。

情報に操られたままの「戦後」

確かに今、日本はどこからも武力による攻撃は受けていません。しかし、小さな子供たちの心(内面)への情報(文字情報、視覚情報など)による攻撃は今も続いているとは言えないでしょうか。正しい歴史を学ぼうにもそれを許さない学習環境。テレビを付ければ「日本は悪いことばかりした」と言い立てる戦争ドラマや戦争特別番組。知らないうちに子供たちは誇りと自信を失っていきます。これは将来の日本にとっては計り知れない損失ではないでしょうか。

このことはなにも子供たちに限ったことではないでしょう。私たち大人でさえ、否むしろそういったことにあまりにも長い間無防備であり続けた大人たちの方が毒されているのかもしれません。

今年が戦後七十年という「節目」の年であるのなら、もうすでにご年配になられている方々のたゆまぬ努力と献身をもって高度経済成長を経験し、平和をたっぷりと享受している私たちにはなかなか見えない「何か」に区切りを付けてもいいのではないでしょうか。

自覚と責任こそが「戦後」を拓(ひら)く

それは無自覚と無責任との決別なのかもしれません。

今持っている知識は何処から得たのか。今自分自身が下している判断は何に基づいたものなのか。自ら別世界に飛び込んで新たな情報を取りに行っているか。そういったことを自覚しながら責任ある判断をしていくこと、それがこの「節目」の年に私たちが取るべき態度なのではないでしょうか。それにはきっと勇気と覚悟が必要でしょう。日本がこれからも平和であり続けるために、少しだけ「戦後」を疑い、ささやかながら自身の心(内面)に問いかけてみるのも無駄ではないような気がします。いかがでしょう。

 

次号予告

議会で提起した「教科書採択」問題を取り上げます。