松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん19号-1
平成27年9月15日

リコール運動と民主主義、その功罪

不成立に終わったリコール(議会解散)運動について、私自身の考えを何かしら述べるべきなのかどうか迷うところがあります。なぜなら、首長としての職責を自ら捨てると公言した市長を市政改革の申し子と持て囃し、「反対ばかりしている議会はダメだ!」「ろくに議論もせず図書館改革事業や競輪事業に反対している!」などといった“議会憎し”の前提に立つ議会への解散請求に対して反論する必要性は感じませんし、「市長を辞めさせないためにも署名を!」との勧誘には、リコール(議会解散)とはあまりに論点がズレてしまっており、コメントのしようがないからです。
それでもあえて何か申し上げるとするならば…、民主主義が抱える「負」の側面が露呈してしまったということになるのでしょうか。
日本の政治の仕組みはどのようなものかといえば、(今さら言うまでもないことですが)市民(国民)の投票によって選ばれ、その負託を受けた議員によって実質的政治が営まれるというものですが、この有り方こそを「代表制民主主義」といい、この国の政治の根幹を成しています。
そのため市民(国民)は普段、特に政治を意識することなく生活することができ、それが「代表制民主主義」の良いところではあるのですが、反面、日常的に政治に関して正確な情報に触れる機会が少ないことから、大きく偏った情報の波に呑み込まれ易くなってしまうという危うさも同時に持ち合わせているのです。
つまり、ある種の政治的煽動を逞(たくま)しくする人たちに付け入る隙(すき)を与え、心惑わされる人たちを生み出す余地を生じてしまうということです。今回のリコール(議会解散)運動が正にそれでした。この運動そのものに批評を加えるつもりはありませんが、いささか冷静さを欠いた運動であったことは否めません。
しかし、今回のリコール(議会解散)運動が“不成立”に終わったということは、松阪市にお住まいのより多くの方々が、いたずらに心惑わされることなく良識的な判断の下、冷静かつ適切に対応された何よりの証(あかし)であり、ここに市政の良態は保たれました。今回の皆さんの貴きご判断に心から敬意を表したいと思います。
あとは今回の運動で議会に対する批判材料とされた「図書館改革事業」と「競輪事業」について、むしろ議会が否決を繰り返したことによって、どれ程の実益を松阪市にもたらし得たか、あらためて提示しておきたいと思います。

知っておくべき図書館問題の真相!

〈市〉の提案
図書館PFI事業の規模 12億5,000万円
はじめの図書館改修費 8億1,700万円
周辺施設改修費 4億3,300万円

〈議会〉の判断
否決!
理由
・事業規模を拡大してまでPFI事業の中に周辺施設の改修を含める必要はない。
・PFI事業で進めると建設費を一律10%安く抑えることができるとするのは机上の計算に過ぎない。
従来の建設方法と客観的に比較したものではなく、10%安く抑えられることに根拠はないのだから。

対象を図書館のみに絞って改修内容を精査し再計算すると…
新たな図書館改修費 6億500万円
ムダな工事 2億1,200万円

結果
1 図書館改修だけでも2億1,200万円のムダな工事が存在した!
2 コンサル会社へのアドバイザー料3,500万円を支払う必要なし!
1+2  合計 2億4,700万円
経費削減できることになった。

議会による「否決!」は正しかった。

知っておくべき競輪事業問題の実態!
平成24年11月当時の背景
大幅な赤字(7億8000万円)が予想されることから、事業の見直しが迫られた。

〈市〉の提案
競輪事業とは関係のない専門外の業者に再建のすべてを託そうとした。
その際、業者に支払うとされた金額は
7000万円×3ヵ年= 2億1000万円
これは再建に掛かる事業費以外に市が余分に支払う金額

〈議会〉の判断
否決!
理由
・専門外の業者には競輪事業の本質は分からない。
・経費削減をすれば解決できるような単純な話ではなく、構造的な問題だ。

見直し要請!
再度、交渉相手を探すことにより、競輪事業においての専門業者である日本写真判定㈱と包括民営委託契約を結ぶことができた。
しかも市にとっては好条件で。
・赤字分は業者負担   ・黒字分は市と業者とで折半
2億1000万円 は支払わずに済んだ

結果
専門業者だからこそ出来たこと
・土日開催のレース日程を組むことができた
・四日市競輪との競合を避けてのレース日程を組むことができた
・協力場外車券売場の開拓
・ガールズケイリンの開催

平成26年度収支2億円の黒字

議会による「否決!」は正しかった。