松阪市議会議員 植松泰之 市政報告
うえまつ―しん18号-1
平成27年1月15日

暴走するPFI図書館事業

ここが変だよ!PFI事業

今、市に対し議会が慎重な議論を求めているPFI(Private Finance Initiative)事業とは、図書館改革事業のことをいいます。
当初3億円〜5億円の予算規模であったはずの事業を、市がいつの間にか12億円、管理運営費を加えると15年で45億円という事業にまで膨らませるという暴走ぶりを見せ、実現に向け、それをそのまま強引に推し進めようとしています(現在、議会から市に対し再三にわたり再考を促しています)。
この事業、より正確に表現すれば「PFI手法を用いた図書館改革推進事業」なるこの事業のどこが問題なのか。それは、よく分からないPFI手法をとにかく導入したいがために、「図書館の何を改革するのか」という根幹をなおざりにしてしまっているという点です。
PFI手法とはすべての課題を解決できるという魔法の手法などではなく、ただただその効率性だけを追求するもので、言うなれば「この条件でこれだけの事業を実施するならば、(あくまで)計算上は、このくらいの経費を削減できそうだ」としているに過ぎないものなのです。

事業の必要性、範囲の妥当性は問わない PFI手法

本事業は、図書館だけにとどまらず、周辺施設も含めた大規模な事業を想定しています。にもかかわらず、対象施設の範囲の妥当性は一切考慮されず、また、松阪市が所有する公共施設全体の統廃合に関わるスケジュールからも除外され、そもそも本事業の必要性すら度外視したPFI手法を導入するということの妥当性ばかりが強調されています。
この場合の周辺施設とは文化財センター、子ども支援研究センター、クラギ文化ホール、農業屋コミュニティ文化センター、鈴の森公園といった施設であり、それら周辺施設を本事業に含めるという考え方に対しては、それぞれの今後のあり方(修繕計画、利用改善計画、運営方針など)についての議論がない中で『図書館改革事業』に強引にくっつけてしまっていることから、多くの反対意見が出ています。
PFI手法の一つの特徴は、できる限り事業規模を大きくし、長期にわたって管理運営を一つにまとめることで全体の経費を削減できるとするところにあるのですが、そのためにかえって事業規模が膨らんでいくという重大な欠点があります。
つまり、その利点(?)を生かして経費を削減することは、一見、合理的であるかのように見えますが、その事業の必要性など重要な議論が未成熟なまま見切り発車してしまうと、本来なら必要のない施設までもが事業対象に含まれてしまうという弊害も生まれるのです。
今回の事業が正にそうです。図書館の周りに建っている、ただそれだけの理由で事業の対象にされてしまっているのです。

経費削減のカラクリ

そもそもその利点を生かすことで「経費を削減できる」という点に対しても実は大いなる疑義があります。
前述の通り、PFI手法はあくまで「机上の計算」をしているに過ぎないのですが、計算をする前提条件として、
「従来の方式(設計・施工・管理運営を個別に発注する方法)に比べて初期投資額を10%、管理運営費を5%削減した上で算出する」
としており、そのような前提で算出した結果が、従来の方式に比べて大幅に削減された金額が算出されるのは当然です。
さらに、PFI手法の弊害として、お金の流れが変則的になるという点も挙げられます。
今回のケースに当てはめるならば「民間企業に市の意向に沿う内容の事業を立ち上げさせ、銀行からお金を借りてもらい、15年にわたって運営してもらう」ということです。一見、市に責任も負担もないように見えますが、民間企業は「市から提供されるお金」で銀行から借りた借金を返済していくので、結果的に市が事業費を負担することについては従来の方式と何ら変わるところがなく、むしろ民間企業が倒産すれば、市がそのすべての債務を負うという危険を孕んでいるのです。その上、契約上、事業内容の変更は契約期間中(今回の場合は15年間)、原則できません。

お年寄りの集う図書館の実現を

本来、図書館を〝改革する〟というのなら、まず図書館を〝どう改革するのか〟を考えるべきでしょう。PFI手法といった資金の調達方法や運営方式についての議論はその後のことです。
そもそも松阪図書館は築27年を迎え、各所の雨漏りなど、建物の老朽化も進み、また和式しかないトイレ、手すりのない階段、さらに出入口のバリアフリー化など多くの課題も抱えています。これらの改修は、PFI手法にこだわらずに早期に実施されなければなりません。その他に、一般図書閲覧室の拡大、パソコン室の設置、学習室の多目的化なども求められていますが、これらは改革ではなく、使い勝手の〝改善〟と〝改修〟と表現した方がより適切でしょう。これらを〝改革〟などと言ってしまうから、「何か新しいこと(PFI手法)を取り入れなければ」という強迫観念にとらわれてしまうのです。
求められる図書館施設の改修・改善を早期に実現し、お年寄りの方々が本を囲むようにしていつでも集うことができる、そんな交流の場としての図書館を目指して欲しいと思います。
目新しいだけのPFI手法を導入したいがために、事業規模の拡大にばかり目を向けている現状は憂慮に堪えません。皆さんはどう思われるでしょうか。